商位相における開集合の有限交叉
商位相では、有限個の開集合 \( U_i \) の交叉の逆像は、それぞれの開集合の逆像の交叉に一致します。 $$ p^{-1}\!\left( \bigcap U_i \right)=\bigcap p^{-1}(U_i) $$ 各逆像が元の空間 \( X \) において開集合であれば、その交叉も開集合になります。したがって、商位相においても有限個の開集合の交叉は開集合となります。
具体例
この性質を、よく知られた商空間 \( A=\mathbb{R}/\mathbb{Z} \) を使って確認してみましょう。この空間は、実数直線の整数だけ離れた点を同一視して得られる空間であり、直感的には円周として考えることができます。
元の空間は実数全体の集合 \( \mathbb{R} \) です。商写像 \( p:\mathbb{R}\to\mathbb{R}/\mathbb{Z} \) は、各実数をその小数部分に対応させます。
このため、商空間は区間 [0,1) を用いて表現できます。
例えば、0.3、1.3、2.3 は整数だけ異なるため、商空間ではすべて同じ点 0.3 に対応します。

それでは、円周 \( A \) 上の2つの開集合を考えます。
$$ U_1 = (0.1, 0.5) $$
$$ U_2 = (0.3, 0.7) $$
どちらも商位相 \( \mathbb{R}/\mathbb{Z} \) における開集合です。
これらの交叉を求めると、
$$ U_1 \cap U_2 = (0.3, 0.5) $$
となります。結果として得られた集合も開区間なので、円周上の開集合です。
次に、この事実を逆像を使って確かめてみましょう。
\( U_1 \) の逆像は、実数直線上で周期的に繰り返される開区間の和集合になります。
$$ p^{-1}(U_1) = (0.1, 0.5) \cup (1.1, 1.5) \cup (2.1, 2.5) \cup \cdots $$
同様に、\( U_2 \) の逆像は
$$ p^{-1}(U_2) = (0.3, 0.7) \cup (1.3, 1.7) \cup (2.3, 2.7) \cup \cdots $$
となります。
それでは、交叉 \( U_1 \cap U_2 \) の逆像を求めてみます。
逆像は、それぞれの逆像の交叉として与えられます。
$$ p^{-1}(U_1 \cap U_2) = (0.3, 0.5) \cup (1.3, 1.5) \cup (2.3, 2.5) \cup \cdots $$
この集合も、\( \mathbb{R} \) の通常の位相における開区間の和集合です。そのため、\( p^{-1}(U_1 \cap U_2) \) は \( \mathbb{R} \) の開集合になります。
商位相の定義によれば、ある集合の逆像が元の空間で開集合であれば、その集合は商空間でも開集合です。したがって、\( U_1 \cap U_2 \) は商位相 \( \mathbb{R}/\mathbb{Z} \) において開集合であることが分かります。
この例から分かるように、商位相では有限個の開集合の交叉をとっても開集合であるという、位相空間の基本的な性質が保たれています。
同じ考え方は、より一般的な商空間にもそのまま適用できます。