上限位相(Upper Limit Topology)とは何か
上限位相(右半開区間を基底とする位相)とは、右半開区間 (a, b](a < b)の集まりをもとに定義される位相のことです。ここで「右半開区間」とは、上端点 b を含み、下端点 a を含まない区間を指します。
つまり、上限位相における開集合は、すべてこのような右半開区間、またはそれらの合併として表されます。
形式的には、次のように書けます。
$$ B = \{ (a,b] \subset \mathbb{R} \ | \ a \lt b \} $$
この式が示すように、上限位相の基底(開集合を作る最小の単位)は「上端点を含む」点で特徴づけられています。
下限位相とのちがい
注記.これに対応する概念として下限位相(lower limit topology、ゾルゲンフレイ直線)があります。こちらでは [a,b) の形をした区間が開集合の基底になり、下端点を含みます。
つまり、上限位相は「右を開く」構造、下限位相は「左を開く」構造をもっています。どちらを採用するかによって、開集合の定義が変わり、空間全体の性質にも影響が生じます。
なお、「上限位相」という語は、位相の順序構造で使われる「位相の上限(supremum topology)」を意味する場合もあるため、数学的文脈では「(a,b] を基底とする位相」と明記するのが安全です。
なぜ重要なのか
上限位相は、位相空間論の中でも非常にシンプルでありながら、定義の違いがどのように空間の性質を変えるかを示す代表的な例です。ほんの少し基底を変えるだけで、可算性や分離性、正規性、距離化可能性といった基本的な性質が変わってしまうのです。
そのため、位相空間を学ぶ際の直感づけや、異なる位相構造を比較する訓練としてよく用いられます。
具体的な例
実数全体 ℝ に上限位相を導入し、右半開区間を開集合とみなしてみましょう。
例えば、(1,3]、(2,6]、(-3,5] といった区間は、いずれも開集合にあたります。
これらすべての右半開区間を集めると、上限位相の基底が得られます。各区間では上端点が含まれ、下端点は含まれません。
このように、上限位相は一見単純ですが、位相の定義が変わるだけで空間のふるまいがどう変化するかを理解するのに非常に役立つ構成です。