閉集合による連続性の特徴付け
2つの位相空間 \( X \) と \( Y \) を考える。写像 \( f: X \to Y \) が連続であるための必要十分条件は、\( Y \) の任意の閉集合 \( C \subseteq Y \) に対して、その逆像 \( f^{-1}(C) \) が \( X \) において閉集合となることである。
位相空間における連続性は、通常、開集合を用いて定義される。しかし実際には、閉集合を使ってもまったく同じ概念を表現できる。
この定理は、連続写像を理解するためのもう一つの重要な視点を与えてくれる。特に、閉集合の性質を扱うことが多い位相空間論では、開集合による定義と同じくらい頻繁に利用される特徴付けである。
つまり、写像 \( f: X \to Y \) は、\( Y \) のすべての閉集合の逆像が \( X \) において閉集合になるとき、かつそのときに限り連続である。
注: この結果は、開集合と閉集合が互いに補集合の関係にあることに基づいている。連続性は開集合によって定義することもできるし、閉集合によって特徴付けることもできる。
具体例
実際に、この条件がどのように使われるのかを見てみよう。
標準位相を備えた実数空間 \( \mathbb{R} \) 上の写像
$$ f(x) = x^2 $$
を考える。
この写像が連続であることを、閉集合の逆像を調べることで確認してみる。
\( Y \) の閉集合として、例えば
$$ C=[1,+\infty) $$
を取る。この集合は補集合 \((-\infty,1)\) が開集合であるため、\( Y \) において閉集合である。
\( C \) の逆像は次のようになる。
$$ f^{-1}(C)=\{x\in\mathbb{R}:x^2\in[1,+\infty)\}=(-\infty,-1]\cup[1,+\infty) $$
この集合は開区間 \((-1,1)\) の補集合であるため、\( \mathbb{R} \) において閉集合である。
したがって、閉集合 \( C \) の逆像は閉集合になっている。
同様のことは他の閉集合についても成り立つため、写像 \( f(x)=x^2 \) は連続であると結論できる。
証明
この定理の証明では、両方向を示す必要がある。
- 連続ならば、閉集合の逆像は閉集合である。
- 閉集合の逆像が常に閉集合ならば、写像は連続である。
1. 連続ならば閉集合の逆像は閉集合である
\( f \) が連続であると仮定する。
連続写像の定義によれば、\( Y \) の任意の開集合の逆像は \( X \) において開集合である。
ここで、閉集合 \( C \subseteq Y \) を取る。
\( C \) が閉集合であることから、その補集合
$$ Y \setminus C $$
は開集合である。
したがって、連続性より
$$ f^{-1}(Y \setminus C) $$
は \( X \) において開集合となる。
一方、逆像は補集合の演算と可換であるため、
$$ f^{-1}(Y \setminus C)=X \setminus f^{-1}(C) $$
が成り立つ。
よって、\( X \setminus f^{-1}(C) \) は開集合である。
したがって、その補集合である \( f^{-1}(C) \) は閉集合となる。
以上から、連続写像は閉集合を閉集合に引き戻すことが分かる。
2. 閉集合の逆像が常に閉集合ならば連続である
今度は逆に、\( Y \) の任意の閉集合の逆像が \( X \) において閉集合であると仮定する。
任意の開集合 \( U \subseteq Y \) を取る。
連続性を示すためには、\( f^{-1}(U) \) が \( X \) において開集合であることを証明すればよい。
\( U \) が開集合であるため、その補集合
$$ Y \setminus U $$
は閉集合である。
仮定より、
$$ f^{-1}(Y \setminus U) $$
は \( X \) において閉集合である。
さらに、
$$ f^{-1}(Y \setminus U)=X \setminus f^{-1}(U) $$
であるから、\( X \setminus f^{-1}(U) \) は閉集合となる。
したがって、その補集合である \( f^{-1}(U) \) は開集合である。
よって、\( f \) は連続である。
まとめ
連続性は通常、開集合の逆像を用いて定義される。しかし、閉集合を使っても同値な特徴付けが得られる。
したがって、写像 \( f: X \to Y \) が連続であるための必要十分条件は、\( Y \) の任意の閉集合 \( C \) に対して、その逆像 \( f^{-1}(C) \) が \( X \) において閉集合となることである。
この結果は、位相空間論における開集合と閉集合の双対性を端的に表しており、連続写像の基本的な性質を理解するうえで重要な定理の一つである。