境界が集合Aに含まれることとAが閉集合であることの同値性
集合 \( A \) の境界 \( \partial A \) が集合 \( A \) に含まれることと、集合 \( A \) が閉集合であることは同値である。すなわち次が成り立つ。
\[ \partial A \subseteq A \Leftrightarrow A \text{ is closed} \]
具体例
例1
集合 \( A \) を、ユークリッド空間 \(\mathbb{R}^2\) において原点を中心とする半径1の閉円板とする。
$$ A = \{ (x,y) \in \mathbb{R}^2 \mid x^2 + y^2 \leq 1 \} $$
このとき、集合 \( A \) の境界は半径1の円周である。
$$ \partial A = \{ (x,y) \in \mathbb{R}^2 \mid x^2 + y^2 = 1 \} $$
閉円板は境界を含む集合である。したがって円周上のすべての点は集合 \( A \) に属する。
$$ \partial A \subseteq A $$
このことから、集合 \( A \) は閉集合であることが分かる。

例2
集合 \( B \) を、原点を中心とする半径1の開円板とする。
$$ B = \{ (x,y) \in \mathbb{R}^2 \mid x^2 + y^2 < 1 \} $$
集合 \( B \) の境界も同じく半径1の円周である。
$$ \partial B = \{ (x,y) \in \mathbb{R}^2 \mid x^2 + y^2 = 1 \} $$
しかし開円板はその境界を含まない。したがって円周上の点は集合 \( B \) に属さない。
$$ \partial B \nsubseteq B $$
このため、集合 \( B \) は閉集合ではない。

この二つの例から分かるように、閉集合はその境界を含むのに対し、開集合は境界を含まない。
証明
この性質を、二つの方向から示す。
1] 境界がAに含まれるならば、Aは閉集合である
\( \partial A \subseteq A \) と仮定する。つまり集合 \( A \) の境界がすべて \( A \) の中に含まれているとする。
集合 \( A \) の境界は次のように定義される。
\( \partial A = \overline{A} \cap \overline{A^c} \)
ここで \( \overline{A} \) は集合 \( A \) の閉包、\( \overline{A^c} \) は補集合 \( A^c \) の閉包である。
境界上の点は、定義から、集合 \( A \) とその補集合 \( A^c \) のどちらにも任意に近づくことができる点である。つまり、それらは \( A \) または \( A^c \) の集積点である。
もし境界のすべての点が \( A \) に含まれているならば、集合 \( A \) は自分の集積点をすべて含むことになる。
定義より、集合がすべての集積点を含むとき、その集合は閉集合である。したがって \( A \) は閉集合である。
2] Aが閉集合ならば、その境界はAに含まれる
次に、集合 \( A \) が閉集合であると仮定する。
閉集合はその閉包と一致するため、次が成り立つ。
$$ A = \mathrm{Cl}(A) $$
境界の定義より
$$ \partial A = \mathrm{Cl}(A) \cap \mathrm{Cl}(A^c) $$
ここで \( \mathrm{Cl}(A) = A \) であるため
$$ \partial A = A \cap \mathrm{Cl}(A^c) $$
この式は、集合 \( A \) に属し、同時に補集合 \( A^c \) の閉包にも属する点の集合を表している。これらの点はまさに集合 \( A \) の境界点である。
したがって境界 \( \partial A \) は集合 \( A \) に含まれる。
3] 結論
以上より、
\[ \partial A \subseteq A \Leftrightarrow A \text{ is closed} \]
が成り立つ。すなわち、集合の境界がその集合に含まれることと、その集合が閉集合であることは同値である。