開集合を使って部分集合を分離するとは何か
位相空間 \( X \) の部分集合 \( A \) を二つの開集合 \( U \) と \( V \) を使ってきれいに分けることを、ここでは「分離」と呼ぶ。この分離が成立するためには、次の三つの条件がそろっている必要がある。
- \( A \) 全体が \( U \cup V \) の中に収まっていること \[ A \subseteq U \cup V \]
- どちらの開集合も、必ず \( A \) のある部分とかかわっていること \[ U \cap A \neq \varnothing \] \[ V \cap A \neq \varnothing \]
- \( A \) の内部では \( U \) と \( V \) が重ならないこと \[ U \cap V \cap A = \varnothing \]
言い換えると、集合 \( A \) は二つのはっきりと分離した部分に分かれ、それぞれが \( U \) と \( V \) の中に入っているという状況になる。これは「その部分集合が位相的に離れている」と説明したいときに使われる、ごく基本的な考え方である。

注記. \( U \) と \( V \) が空間全体 \( X \) の中でどこか別の場所で交わっていても問題はない。大切なのは、その交わりが \( A \) の部分に入り込まないという点である。

具体例で見てみる
直感的に理解しやすいように、実数直線 \( X = \mathbb{R} \) を例にしてみよう。部分集合 \( A \) として、次の二つの離れた閉区間を考える。
$$ A = [-2,-1] \cup [1,2] $$
そして次の二つの開集合を用意する。
$$ U = (-3,0) $$
$$ V = (0,3) $$
これらがどのように配置されているかは、次の図を見ると分かりやすい。

まず、区間 \( [-2,-1] \) はすべて \( U \) の中に入っている。逆に、区間 \( [1,2] \) はすべて \( V \) の中に入っている。このため、\( A \) は確かに \( U \cup V \) の内部に収まっている。
それぞれの開集合が \( A \) と実際に交わる点も確認できる。
$$ U \cap A = [-2,-1] \neq \varnothing $$
$$ V \cap A = [1,2] \neq \varnothing $$
さらに重要なのは、\( U \) と \( V \) が \( A \) の内部では全く重ならないという点である。
$$ U \cap V \cap A = \varnothing $$
これらの条件が全てそろっているので、開集合 \( U \) と \( V \) は実数直線上の部分集合 \( A \) をきれいに分離していると言える。